14/07/01 5周年記念式典 その6
2014年 07月 20日
釧路自主夜間中学「くるかい」 5周年記念式典 要約つづき
(ホワイトボードに掲示したポスターを指して)この、「サイレント・プア」というNHKのドラマを見ましたか?社会福祉協議会がドラマの主人公になることは、戦後の歴史の中でも初めてじゃないかと思います。「私は、その手を離さない」。震災で弟を亡くした、助けられなかった思いを乗り越えてコミュニティソーシャルワーカー(CSW)という役割で地域の方、ゴミ屋敷の方、引きこもりの方、若い認知症の方に向き合う物語です。私は本当に感動しました。毎回、感涙にむせびながら見ていたんですよ。
(司会のS事務局長)
それでは、5周年を記念したお話です。「くるかい」は多くの方々から支えられていると申し上げましたが、何をおきましても、この学習の場を提供してくださっている釧路市社会福祉協議会様のご協力無しには本日まで活動を続けていく事は到底できなかったと思っています。中でも初めから私たちの活動に理解を示してくださり優しいまなざしで今日まで見守ってくださった方が釧路市社会福祉協議会で事務局長をされております小野様です。来賓ということでは無くて、本日は私たちの良き理解者として地域福祉の観点からわかりやすいお話を伺うことになっています。よろしくお願いいたします。
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五周年を記念したお話 釧路市社会福祉協議会事務局長 小野 信一 様
みなさん ごきげんよう♪こんばんは♪
皆さんは「花子とアン」のドラマを見てますか?今、私はこれが楽しみで、朝8時になると何があってもテレビの前に居座ります。私は大川町に住んでいるので、ドラマを見てから歩いて出勤しても仕事に十分間に合うのです。
今日のお話を受けた時、賀根村さんに「地域福祉の意義について教えてください」と言われました。「てっ!(注:甲州弁で驚きの表現)」っとびっくりしたあと、どうしたらよいかなと思いながら、「こぴっとしろし!」(注:甲州弁で「しっかりしなさい」という意味)と自分を元気づけてきたところです。
今日のような5周年の大事な記念日に話をするのは緊張しますが、福祉の仕事、地域福祉についてわかりやすくお伝えしたいと馳せ参じてきた次第です。
私はS事務局長さんとは毎日のように顔を合わせています。皆さんもご存じのように、S事務局長さんは柔道の先生です。…え?知りませんでしたか?六段だそうですよ!(一同 拍手)S事務局長さんは、この釧路市総合福祉センター4階の柔道場で、柔道を指導しています。先ほどお話された高木さんも柔道をされていましたね。
皆さん、「恋チュン」って知ってる?AKB48の女の子たちの歌、「恋するフォーチュンクッキー」のことです。それを釧路市のみんなで歌って踊るところをビデオに撮りました。S事務局長さんも柔道場で踊っていましたよ。それを、「釧路の人達はこんなに元気だ」と全世界に公開します。この釧路市版「恋チュン」は7月中旬くらいから公開されます。公開が始まったら、「くるかい」のスタッフがインターネットの映像を見せてくれるかもしれません。(注:7月17日より公開)
この前の土曜日曜(注:6月28日、29日)に「ふれあい広場2014」というイベントがあり、大勢の人が来てくれました。ダニエル・カールさんも講演してくれました。ビールパーティーもやりました。これは「福祉基金の造成事業」といって、チャリティーの事業です。とにかく集まってワイワイする福祉のイベントです。皆さんも人が集まると楽しいでしょ。その時は看護学生さん、公立大の学生さんをはじめ、老若男女みんなで盛り上げてくれました。フィナーレが正に「恋チュン」。数百人で踊りましたよ。撮ったので後で見てください。
別の機会に湖陵高校のチアガール、ガールスカウト、施設の入所者の方々、福祉関係に留まらず、ダンス・文化関係の方々、カモメンジャーも来ました。青陵中学校のISSY(イッシー)(注:いじめをしない、させない、ゆるさない運動)レンジャーも「恋チュン」を踊ってくれました。
「くるかい」は5周年、よく続きましたね。皆さん一人一人の力。皆さんがいたから続いた。敬服します。すごいことだと思います。釧路市社会福祉協議会は、総合福祉センターのいわゆる大家です。「くるかい」の皆さん方が使ってくださると嬉しいです。どうぞこれからも長く使ってください。
(会場の全面両脇に設置したものを紹介して)これは「インタビューボード」です。世の中PRの時代。色々アピールしないとわかってもらえません。隠すのが美徳と日本では言われますが、福祉は良いことだからもっとアピールしたいと思って作りました。インタビューボードにあるのは、全国共通の社会福祉協議会のマークです。日本全国津々浦々に社会福祉協議会があります。各市町村、都道府県、全国に社協があります。短く「社協」と呼んでください。私が社協に入ったのは昭和54年。「社協」って言ってもわかってもらえなかった。「写経」、「社共」と勘違いされました。インタビューボードにあるように、顔、人、手をつないでいるマークになっています。手と手をつなぐ、場をつなぐ仲人役が仕事です。市の職員ではありません。団体職員です。
(もう一つを紹介して)こちらのインタビューボードでは愛(あい)ちゃんと希望(きぼう)くんが赤い羽根を持っています。赤い羽根共同募金も社協の仕事です。いつも街頭募金のご協力をありがとうございます。集まった募金は銀行に預けています。私のポケットではありません。(一同 笑)お金を勘定する機械を中古で買って、このホールで小銭を数えるんです。小銭が多いので、ここでは大体の勘定をして、あとは銀行で数えてもらいます。
私の最初の仕事は共同募金でした。街頭募金のお金は、ここに集まってきているんです。毎年150万円から160万円ほど集まります。戸別募金や会社からの募金をいただき、「歳末たすけあい」も含めると年間で2,000万円くらい集まり、それを福祉の助成金にしています。皆さんのおかげです。
ここの総合福祉センターは、昭和56年にできました。1981年ですが、国際障害者年といって世界中で大変大事な年と言われました。その時には、ノーマライゼーション(注:障がいの有無に関わらず、誰もが共に暮らすことができる社会にしていこうという運動)がテーマとしてあげられました。障がい者の方も健常者も、昔は2つに分けて考えていたけれど、一緒に生活する社会が当たり前の、ノーマルな社会だっていう考え方です。これは今も大事にされている考え方なんですね。
皆さん、あらためて、「福祉」って聞いて何を思い浮かべますか?福祉ってなんだろう。
福祉ってね、漢字で書くと大福餅の「福」と…、「祉」は、こういう字。この「祉」という感じってみんなあんまり使わないよね。私もそうでした。調べると、「福」も、「祉」もどちらも幸せという意味なんだそうです。
福祉とは、
命を大切にし、
暮らしを豊かにし、
生きがいを見つけること。
という良い言葉に出会いました。
「福祉って何さ?」って聞かれたら、「生きがいを見つけることが福祉なんだ。」って答えちゃってください。色んな幸せが人それぞれあるけれど、「命を大切にし、暮らしを豊かにし、生きがいを見つけること」、それが福祉。そういう風にしたいな、なりたいなって思っている人、行動する人を支援すること、そんな「福祉」に「地域」という言葉がついて「地域福祉」。これを社協で行っています。
「地域」ってなんだろう。……「ご町内」ね。そうそう。住んでいる家の周りにご近所の方がいるね。そして、親戚の人もいたりする。地域っていったらこんな感じ?私の住む地域には200人くらい住んでいるけれど、町内会に入っている人は70人から80人くらいです。昔は身体が弱くなった一人暮らしのおじいちゃんに、隣の人が味噌汁持っていったりして助け合いました。それが「地域福祉」だったんだけれど、だんだん難しくなりました。
そして昔は、遠くの施設に行くことが福祉でした。福祉って「在宅の福祉」と、「施設の福祉」と分けられて考えられていたんですね。デイサービスやヘルパーさんが来てくれるのが「在宅福祉」。対するのが「施設福祉」。でも「地域福祉」といったら、今は在宅も福祉施設も「ご町内」も一緒。そう私は考え、目指しています。
最近、近所に小さな施設ができていませんか?「あれ、あそこは空き家だったけれど……」というところを改造して○○ケアホームとか、○○グループホームなどができてきましたよね。ご近所の助け合いはちょっと弱くなってきているけれど、介護保険制度、障害者総合支援制度などができて、身近な場所に福祉が届くようになってきました。裏を返せば、地域のつながりが弱くなったことなんですけれどね。
地域という形が変わってきたから、逆にまたご近所のつながりを大切にしていけば、せっかくの福祉施設もそばにあるのだから、地域の人も一緒に支え合ってもっとよくできるんじゃないか?というのが現在の「地域福祉」。
釧路市の「地域福祉」のお話をしますね。
(ホワイトボードに貼った地図を指して)釧路市の地図を描きました。釧路市は川2つに分けられているのが特徴です。そして平成17年に音別町と阿寒町と合併し、新しい釧路市になりました。この横線が何かわかる人はいますか?これは柳町公園です。その昔、運河だったところを埋めた公園です。旧釧路市は、5つの「日常生活圏域」という地域に分けられています。特にお年寄りのことについては、その5つの地域に分かれて相談に乗ってくれ、手助けしてくれます。ここが東部南。春採とか興津、桜ヶ岡、白樺台などの地区です。ここが東部南。武佐、大川町、材木町、緑ケ岡などの地区。教育大学の向かいに東部北地域支援包括センターがあるのがわかりますか?あと中部南地区は、ここ。皆さんの今いる旭町もそうです。美原や文苑、芦野地区は中部北です。そして阿寒・音別を加えて、釧路市全体では7つとなります。この7つの日常生活圏域に分かれて、それぞれに地域包括支援センターがあります。地域福祉は組み分けられながら、近所に存在しています。市役所や支所に行くより近いでしょう?一番高齢化が進んでいるのが東部南の36.8%です。中部北地域は23.1%。地域を中心としながら、福祉を進める釧路市になっているんですよ。
ありゃぁ、時間がなくなっちゃいました。それでは、中途半端ですがこの辺で終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
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(S事務局長)
大変ありがとうございます。福祉、地域福祉ということをわかりやすくご説明いただきました。最初に福祉の考え方を教えていただきましたが、私たちにも簡単にできることがあるかもしれないという思いを持たせていただくことができました。難しいお話をかみ砕いてご説明いただきました。改めて感謝申し上げます。
ここでいったん休憩に入ります。ご挨拶いただいた高木様、ご講演いただいた小野様に感謝の拍手を送らせていただきたいと思います。お忙しい中、お時間を作ってくださりありがとうございました。(拍手)
by kurukai
| 2014-07-20 23:07
| 活動報告
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